客船出港時と紙テープ

客船出港時と紙テープ

初夏の風が気持ち良い季節になりましたがいかがお過ごしでしょうか。本日は船の出航をノルタルジックで色っぽくしてくれるアイテム「紙テープ」についてお話しさせていただきます。

送る人と送られる人を結ぶ五色の紙テープ。客船の出港時には欠かすことができないアイテムです。しかし、この紙テープで送迎する習慣が始まったのは比較的最近のことと言われています。

イギリスでは古くから捕鯨船の出帆時にマストや旗竿から赤や青の長いリボンを吹き流して豊漁を祈る習慣がありましたが、客船出港時のセレモニーとして紙テープが使われることはありませんでした。これが普及したきっかけは1915年サンフランシスコで開かれた万国博覧会だと言われています。

日本のある商社が、この博覧会で商品包装用として五色の紙テープを出品しました。ところが紙テープで商品を飾る習慣がない西洋人には結局受け入れられませんでした。そこで日本人移民商人の一人が一計を案じ、売れ残った紙テープを安く大量に買い取り
「客船出港時に、最後まで別れを惜しむ握手の代わりに」
と宣伝したところ大いに当たり、それから世界中に広まり定着するようになりました。

列車や飛行機の旅では味わうことができない、クルーズだからこそ体験できるノスタルジックで色っぽい瞬間をお楽しみください。船に乗る楽しみがひとつ増えたら幸いです。