最近、クルーズ客船に乗船する機会が多いのですが、楽しみのひとつが各寄港地での歓送イベントです。各港を比べながらお話ししましょう。

先ず、別府港。乗船客が最も注目する着岸時には未だリハーサルの真っ只中。尺八、三味線、太鼓の生演奏付きの踊りが披露されたのは到着後ずいぶん経ってから。下船時に披露しようとの考えだったのでしょうが、下船されたお客様はずらり配車されたバスに向かってまっしぐら。せっかくの熱演を残念ながら殆どの方々は見る余裕もなさそうです。
それに比べタイミング抜群だったのが台湾の花蓮港。船が港に近づく頃には大音量の民族音楽にのせて踊り手が舞い、バルコニーやデッキの乗客たちからの大喝采を浴びていました。

次は出航風景です。鹿児島港では市民から募った「おもてなし隊」の方々が、揃いの手旗を振ってくれます。船が離岸しはじめた瞬間、小さな男の子が大きな声で「バイバ～イ！」と叫ぶと、多くの外国人たちが大声で「グッバ～イ」と応じ、同時に船が汽笛を鳴らしたのが印象的でした。

一方、数多くの外国船が毎日立ち寄る釜山港はさすがに手慣れたもので、プロの歌手とサックス奏者、そして舞踊団達が遠ざかるまで見送ってくれます。が、いくらプロが完璧にこなしても、一般市民のおもてなしには叶いません。長崎港では出航に合わせて地元の高校生によるブラスバンド演奏が行なわれていましたが、離岸と同時に全員が一斉に桟橋に走り寄り、とびきりの笑顔で思いきり手を振ってくれた演出には脱帽です。

最後に私自身が過去に最も感動したシーン。接岸時に陸地を埋め尽くす数のペンギンたちに出迎えられた南極半島、あまりの可愛さに言葉もありませんでした。

もうひとつは出航後もずっとボートで追いかけながら見送ってくれる小笠原の父島･二見港。特に3月末、任期を終えた学校の先生が島を離れる時には教え子たちが船で並走し、最後は全員が海に飛び込み見えなくなるまで手を振ります。こんな感動的なシーンに思いがけず乗り合わせ、ついもらい泣きした事は言うまでもありません。

各地で大歓迎を受ける船の旅。あなたも体験してみませんか？