こんにちは! ワイバード バードガイドの石田光史です。
どんな仕事でも「絶体絶命な時」ってあるものです。私の仕事はフィールドで鳥を見つける事。常にお客様と一緒ですから、ツアー中に目的の鳥がいないという最悪の状況が起きた時、その全て引き受ける。今日の話題は、そんな「絶体絶命」の戦いです。
バードウォッチングツアーは目的がはっきりした旅です。相手は野生動物、時として探せど探せどお目当ての鳥、盛り上がりを作れる鳥に出会えない時もあります。もちろん自然の中での出来事、ある意味仕方がないのですが、それではプロとしてのプライドはズタズタです。なにしろお客様の期待を全て背負っているわけですから。
こんな時、追い詰められた人間というのはいろいろとバカなことを考えるものです。餌でも撒いたら鳥はやってくるだろうか?鳥が集まってくるような臭いがするグッズとかはないのか、いや、口笛でも吹いてみるか、とりあえず自分が焦っていることをお客様に悟られないようにしなくては・・・といった具合に。
そしてこんな時、お客様から「今日は鳥がいないわね~」などと言われたら完全な敗北、敢えてこちらから「今日は何だか静かですね~」と切り込みます。要するに探りです。ここで「まあ、仕方ないよね~」といった寛容な声が出るのか、はたまた時期とか場所選び等何らかのミスじゃないのか?といった険悪な空気になるのか、こんな勝負の時間がひたすら続くのです。
だから僕は、いつもピンチでマウンドに上がるクローザーの気持ちがよく分かる。オレは岩瀬や藤川、イム・チャンヨンと同じなんだ・・・と。
ただ、こういった場合に人間は2つのタイプに別れるものです。1つは素直に謝る真面目タイプ、もう1つは誤魔化す手段を考えるタイプ。ただ、僕は経験があるから最近、第3のタイプに進化しました。それは、鳥の気配がなくともひたすら懸命に頑張って探そうとするという手法。ここまでガイドが探して見つからないのだから仕方ないよね~といった空気を作り、何とか納得して頂くのです。やれやれ・・・気がつけば8年もかかってしまった。
時として上手く行かないこともあるバードウォッチングツアー。それでもこれだけのお仕事がいただけるのは、野鳥たちが想像を絶する魅力を持っているという証です。“バードウォッチング=鳥を見る”そんなに簡単で浅いものではないということです。