ロシア人は、週末になると街中の自宅を飛び出して郊外の「ダ―チャ」に向かいます。
「ダ―チャ」は日本語で「別荘」と訳されることが多いですが、敷地内で野菜や果物を育てて収穫したり、取れた作物で保存食を作ったり、もっと生活に密着した場所でもあります。
金曜の午後になると、これから植える苗や肥料、作物を入れるバケツなどを積んだ車で渋滞が発生し、現地ではこの渋滞を「ダ―チャ渋滞」と呼んでいます。
ダ―チャの設備に関しては、ただの木造小屋のようなシンプルなものからお城みたいな外観で、敷地にバーニャ(ロシア式サウナ)やプールが備わっている豪華なダ―チャもあります。
今現在はロシアも物資が豊富になり、商店に長蛇の列ができたりはしませんが、ソ連時代、特にソ連崩壊直後は深刻な物不足に陥り、マイナス何十℃といった気温の中で人々は商店に並び、生活は大変苦しいものでした。しかしダ―チャがあったおかげで、寒い冬にも餓死者が多数出ることはなく、人々は厳しい時代を乗り切ることができました。
私は先日ハバロフスクにあるダ―チャにおじゃまして、ベリー類の果実を摘んだり、野菜の収穫を手伝ったりした後に昼食をご馳走になりました。その昼食の材料は、すべてこのダ―チャで収穫されたものだと聞きました。テーブルには野菜やきのこが中心といった素朴な料理が並びましたが、1つ1つの材料が持つ滋養のパワーが不思議と感じられるようでした。
厳しい時代の人々を救った、まさにロシアの大地の恵みを食しているんだな、としみじみ思いました。
ロシア旅行社
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