カンボジア:夕日鑑賞で有名なプノンバケン遺跡の意外な楽しみ方

先日、アンコール・ワットのあるカンボジアのシェムリアップに行き、時間を見つけてプノンバケン遺跡を訪れてみました。高さ60メートルの丘陵に立つプノンバケン遺跡は、夕陽観賞スポットとして有名なところ。夕方になると、アンコールの大地に沈む美しい夕陽を目当てにたくさんの観光客でにぎわいます。ここから眺める夕陽は確かに美しいのですが、夕陽だけではなくアンコール三聖山のひとつに数えられ、歴史的に重要な意味のある遺跡自体もぜひ味わっていただきたいと思います。

遺跡自体を味わうなら、日没間際(写真上)よりやはり日中(写真下)です。日没近くになると夕陽を求めて多数の観光客が訪れます。その多さは入場規制(300人まで)があることからもよくわかると思います。ですが、日中はほとんど人がいないため、静かな空気のなかで遺跡を独り占めしたような気分に浸れるのです! 人がいないので写真撮影も思いのまま。有名遺跡で人がまったく写っていない写真を撮るのはきわめて難しいですが、日中のプノンバケンなら難しくありません。

遺跡の観賞ポイントは、やはり歴史的な意義でしょう。プノンバケン遺跡はアンコール地方へ遷都したヤショーヴァルマン1世が王都を定め、都城を造営した場所、つまりアンコール最初の都が置かれた意義深いところなのです。山頂に残る遺跡は小規模ですが、自然の地形を生かして6層の基壇上に祠堂が配されたピラミッド型寺院となっており、サンポット(巻きスカート)の折り返しや襞が細かく丁寧に刻まれたデーバター(女神)像を見ると、この時代を境に美の表現が力強さから繊細さへと移行したことがわかり、なかなか興味深いです。

また、遺跡のある頂からは、同じく聖山とされるプノンボック(ボック山)とプノンクーレン(クーレン山)が見渡せるほか、天気に恵まれれば遠くタイとの国境にあるダンレック山脈も視界におさめられる絶景ポイント! そんなすがすがしい眺めは日没前より明るい日中のほうがだんぜん楽しめます。夕陽だけじゃないプノンバケン遺跡も味わってみませんか?

(日中はとても暑いので水分補給と日差し対策をお忘れなく!)

プノンバケンの入場規制については弊社ホームページをご参照ください。
http://www.pitt.jp/cambodia/others/cbd-restration.php