カンボジアを旅する際に「ベストシーズン」とされる乾季はあと2ヶ月ほどで終わり、5月下旬頃から10月下旬頃までは雨季となります。乾季がベストシーズ ンなら、雨季の旅には魅力がない? と思われるかもしれませんが、決してそんなことはありません。いや、むしろ、雨季ならではの旅の楽しみもたくさんある のです。今回はそんな雨季の楽しみ方を少しご紹介したいと思います。
たとえば景色です。乾季は生気を失ったかのように げんなりしていた植物も、雨季になると自然の恵みを受けて生き生きとよみがえります。アンコール遺跡群を包む森や遺跡観光の際に見かける水田も雨季は青々 とし、水田から伸びるオオギヤシ(カンボジアのシンボルのひとつ)、樹上に広がる真っ青な空と立体的な雲が織りなす光景(写真参照)は、この国が誇る自然 美のひとつであり、雨季でないと味わうことのできないものです。
もうひとつは農村での営みです。
雨季は稲作が始まる季節ですので、遺跡観光の合間にぜひ農村にも立ち寄ってみてください。牛や水牛を使って水田を耕す村人たち、集い合って楽しそうに田植 えをする姿、食用の魚や貝を採取する人々、天然のシャワーを全身に浴びる子どもたちと出会えるでしょう。タイミングが合えば、カエルが大合唱で歓迎してく れるかもしれません。こうした営みは、アンコール遺跡群が生まれた時代以前から脈々と語り継がれてきたひとつの物語であり、それが水という恵みを得て生き 生きとするのが雨季なのです。
雨季というと、日本の梅雨のように1日中雨がしとしと降っている様子を想像されるかもしれませんが、アンコール遺跡観光の拠点となる町シェムリアッ プや首都プノンペンでは、1日のうち数時間、午後のほぼ決まった時間帯にまとまって降ることが多く、それ以外は晴れていることがほとんどです。なので、雨 で1日中身動きがとりにくくなるということはありませんのでご安心を。
雨季にしか味わえない魅力を体感しに、ぜひカンボジアを旅してみませんか?