今回は西アフリカの旅の醍醐味のひとつ、田舎のマーケット食い倒れのご紹介です。
アフリカでもちょっとへんぴな所、流通の発展していない所では、村々が持ち回りで市を立てて食料、生活品を補い合っています。市場は村の生活にとってハレ の場。女性はカラフルなドレスでキメてくるので一帯は色の洪水になります。おじさん達はミレットビール(麦ではなくアワやソルガムなどの雑穀のビール)に 舌づつみを打っています。
なにより楽しいのはローカルフードの食い倒れ。日本の食生活では見かけない食材や料理に出会うと警戒してしまいますが期待を良い意味で裏切ってくれるのが西アフリカ料理です。特にスープの味付けには奥深いものがあります。
プラスチックの容器に盛るので上等な料理には見えないのが悲しいですが、ママたちが早起きして火をおこし、魚の干物や鶏がらでダシをとり、ニンニクや生姜 をすりつぶして入れ、野菜、鶏肉や牛肉、魚を入れ、スパイスを入れて煮込んでいます。調理に5時間くらいかけることもありますので美味しくないわけがあり ません。有名なものとしてピーナッツバターで煮込んだシチュー「マフェ」やマスタードソースで煮込んだ「ヤッサ」などがありますが、他にもホウレンソウの ペーストを使ったものやオクラをベースにしたものなど色々な種類があります。
また、見た目には分かりにくいですが、市場では日本の食材に似通ったものも発見できます。
例えばネレの実(マメ科)を発酵させたスンバラというもの(写真)。一見なんだか分かりませんが納豆と同じ匂いがします。これをマギーブイヨンのように スープに投入するだけで底味がつくという便利なものです。これは日本では大徳寺納豆と呼ばれる、納豆菌ではなく麹菌で発酵したものに近い食品(味噌に近い とも言える)だと言われています。欧米人が苦手としている点も納豆と同じです。
いわゆる豆腐もあります。ただし水に浸す代わりにソルガム(モロコシ)の液で赤く色付けされており、チーズのような歯ごたえがあります。
市場で真っ黒で丸いもの(泥団子みたい)を見つけたらそれは栗です。皮だけが焦げて真っ黒になっているので皮をむいて食べます。焼き芋ならぬ焼き栗といったところでしょうか。
調味料として醤油(魚醤)に近いものもあります。魚の燻製(あるいは干物)を塩で漬けこんで発酵させ、魚を取り出して天日干ししたものです。
市場では食べ物に関して素人目でもいろいろな驚きと発見がありますが、料理に精通した人にはかなり刺激的な場所なのかもしれません。ぜひママ達と料理の話で盛り上がってほしいと思います。