真っ白な大理石、完璧なシンメトリー。
インドで最も美しく壮麗と称される “タージマハル”ですが、ここまで有名となり人々を魅了するのは、“壮大な建築物”という外見的なことだけではなく、とても情熱的で切ないストーリーがあるからではないでしょうか。
時はさかのぼること16~17世紀、タージマハルを建設したムガル帝国第5代皇帝シャージャハーンには、とても愛する妻・ムムターズ・マハルがいました。(皇帝シャージャハーンの時代はイスラム文化の最盛期でしたが、妃との間にはなんと14人もの子供をもうけたといいますから、仲のよさが分かりますね。)
各地での戦や逃避行の際にも同行させるなど、常に連れ添っていた2人ですが、愛妃ムムターズ・マハルが37歳の時に病で死んでしまうと、皇帝はこれを悼み、彼女のための霊廟タージマハルを建立しました。
白大理石、赤メノウ、トルコ石、金・・・と、世界各地から最高の資材が取り寄せられ、名匠達の手で白大理石に宝石がはめ込まれ、透かし彫りが施されました。完成には22年の歳月と2万人の労働者を費やしたといわれます。
その後、この浪費によって国は傾き、息子アウラングゼーブによって皇帝は城(アグラ城)に幽閉されてしまいます。幽閉された7年間、皇帝は日々涙にむせびながら 亡き妻の眠る廟を眺めて過ごしていたといわれています。
当初皇帝は、妻の廟と同じ形をした黒大理石製の自らの廟を対岸に作り、その両者を橋で結びたいと望んでいましたが、それもかなわぬまま命を落としたのです。 “愛のタージマハル”と称されるのも分かりますよね。
みなさんもぜひ一度大切な方と訪れてみてください。
P.S 皇帝が愛する人を想いながら過ごしたといわれる、アグラ城から眺めるタージマハールもとても素敵ですよ。