スペインの春はお祭のシーズンです。3月中旬(2013年は3月14日~19日)に開催されるバレンシアのサン・ホセの火祭りによって春が訪れると同時 に、スペイン中のお祭りシーズンが始まります。各祭の期間中は連夜深夜には大規模な仕掛け花火が打ち上げられ、人々は夜が白々と明ける頃まで飲み歩きま す。
サン・ホセの火祭りの「サン・ホセ」とはスペイン語で聖ヨセフ、つまりイエス・キリストの父親のこと。職業が大工だったことから大工職人達の守護聖人として崇められています。
昔から大工たちの間でサン・ホセの日(日本でいう「父の日」)に古い材木や木屑などを集めて大きな焚き火をする習慣が受け継がれていましたが、ある日、ファヤを火の中に投げ入れたのが周囲の人々に面白がられ、それがきっかけとなり色々な人形が作られるようになりました。
「ファヤ」とは街中を飾る張子人形のことで、その人形の大きさは大小さまざまです。通常、「ニノット」(ninot)と呼ばれる単体の張子人形を複数組み 合わせて一つの「ファヤ」が造られています。ファヤはその大きさによって、 大型な「ファヤス・アドゥルトス」(“大人のファヤス”の意)と、小ぶりな「ファヤス・インファンティレス」 (“子供のファヤス”の意)に分類され、大きなものは高さ30mにも及びます。
現在では飾り付けも凝った風刺のきいたテーマが取り上げられるようになり、ファヤを見て周るだけでも楽しいですよ。 人気投票でも部門が分けられ、点火も小型と大型は別々に行われます。また、 全てのファヤスを焼きますが、1位になったものだけは焼かれません。その為、1年かけて、どんなファヤスを作ろうか構想を練ります。
最終日19日のサン・ホセの夜には小さなファヤから一斉に火がつけられ、20日午前1時にバレンシア広場の巨大なファヤが炎に包まれると火祭りは閉幕、これをもって本格的な春の訪れとなります。
4月には、バレンシアの火祭りと並んで、スペインの三大祭りのひとつに数えられる、セビリアの春祭りがあります。いろいろあるお祭りの中でも、一段とスペインらしさが溢れるのがこの春祭りです。
開催期間は、当初、4月後半の3日間だけでしたが、徐々に長くなり、現在では、1週間のお祭りとなっています。今年の春祭りの開催期間は、4月24日~4 月29日です。 本来は、農業や牧畜による町の活性化のための見本市でしたが、セビリア人の陽気さから、いつの間にか、家畜そっちのけで、飲めや踊れやのお祭りになったと いうことです。
なんといってもこの春祭りの見所は女性たちのカラフルで美しい衣装。小さな女の子から貫禄たっぷりの奥方まであらゆる世代の女性たちがフリルをたなびかせ 踊ります。この衣装は、毎年、専用のデザインショーが開かれるほどで、皆がそれぞれに自慢の衣装を身につけ、衣装に合った髪飾りやショール、イヤリング、 ネックレスなどで更に華やかさを引き立てています。
美しい衣装で着飾った女性達と、彼女達をエスコートする民族衣装の男性達が行きかう様子は、まるで19世紀の時代に紛れ込んでしまったかのようで、不思議な気分を味わうことができます。
また、見逃せないのが、お祭りのシンボルともなる会場の「入場門」。市内の建造物をモデルに作られており、夜のライトアップは必見ですよ!
セビリアへはマドリッドからだって日帰りで行くことができます!
この期間にセビリアを訪れる方は是非、お祭りを楽しんでくださいね♪