日本のお年寄りに見せたい韓国のお年寄り

日本のお年寄りに見せたい韓国のお年寄り

ソウルの中心部に宗廟(チョンミョ)という所があります。朝鮮王朝の歴代国王の位牌が安置されていて、ユネスコ世界遺産にも登録されている韓国を代表する観光地のひとつです。

その入り口の前は公園になっていて、雨が降っていない限り毎日、大勢のお年寄りが集まって来ます。友人とおしゃべりをしたり、碁や将棋を打ったりとゆったりとした時間を過ごしています。概して韓国のお年寄りはオシャレで、かつては伝統衣装・韓服(ハンボク)を着ている人もいましたが、最近は少なくなりました。皆、大きな声で話し、笑い、中にはラジカセを持ってきて、歌ったり踊ったりしているグループもいます。

日本のお年寄りも世界の中でベスト10に入るほどの長寿で、元気な方が多いです。70歳を過ぎても仕事をしている方も大勢いますし、旅行や趣味に没頭したり、ボランティアなど社会的な活動をしている方もいます。
両国ともお年寄りが元気なのは共通ですが、社会における存在感となると違いがあり、押し並べて日本では静かな方が多いのに対して、韓国は悠然とした方が多いです。

韓国は儒教の国です。両親や目上の人を敬い、お年寄りを大切にする教育が小さい頃から徹底的になされ、また先人たるお年寄りから物事を学ぼうとする姿勢があります。かたや、お年寄りは青少年を正しいルールに導くよう絶えず心掛けています。電車やバスに乗っていると若い人が席を譲ったり、話をする時にはお年寄りの前で恭しく両手を前に組んで聞いている光景をよく目にします。社会全体にその精神が覆っていて、この事がお年寄りの悠然とした態度となって表れるのです。

日本のお年寄りは物静かで好奇心旺盛な求道者、韓国のお年寄りは悠然として教育熱心な、両班[かつての貴族階級]。私はこのような違いがあると思います。
またギクシャクとしている昨今の日韓関係ですが、日本の皆様もこのような所を注視して旅行されると、また違った旅の印象を持たれるのではないでしょうか。

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